初めてキスの小説
勇介は一晩中海を見ながら考えた夜、圭のことが好きなのだという結論を得ました。しかし、その直後に圭のところへ行ったとき、彼は拒絶されました。さらにその結末を杉村に話して、勇介は杉村からも離れていくことになりました。
勇介はそれまでの杉村や圭との関係に区切りをつけることになりました。そして、もう一つの大きな問題として自分の目指す将来が定まらず、両方のことで悩ましい日々を過ごしていました。
いっぽう、圭は杉村の来訪を受け、勇介の気持ちを聞かされました。しかし、圭は勇介の気持ちを拒否しました。圭は勇介との関係は終わったものだと考えました。
このように、勇介と圭との関係にはいったん終止符が打たれることになりましたが、二人の心の中から互いを思う気持ちが消えてしまったわけではありませんでした。それからも、二人は互いに相手のことを十分に意識していました。
勇介の父は勇介の進路について指示するようなことはしませんでした。勇介は町井に相談しましたが、やはり自分の将来は自分で決めなければならないことを再認識させられました。悩みながら夜明かしした日、勇介は着ていくシャツがなくて学校を休みました。そして、河島が置いていったウイスキーを飲み始めました。
午前中から酒を飲み始めること自体がまともな精神状態ではないことを表していると思いますが、こうなると「なくなるまで」飲んでしまうものでしょう。勇介が気づいたのは圭のアパートの、彼女の部屋の前でした。友崎の足音に目をさました勇介はふらりと立ち上がって歩き始めました。おぼつかない足取りで階段を降りかけたとき、勇介はちょうど帰ってきた圭に声をかけられ、足を踏み外しました。圭を巻き込んで階段下に落ちた勇介が目を開けると、そこに圭の顔がありました。勇介がそのまま圭にキス をしたのは、半ば事故のようなものだったのでしょうか。
なお、この件は勇介と圭の関係であったからこそ、これ以上の騒ぎにはならなかったのですが、そうでなければ警察沙汰にもなりかねない事件です。酔っていたからと許されることではありません。
さて、キスをされた圭にとっては記憶に刻み込まれる重大な事件でしたが、キスをした方は覚えていない。こんな罪な話はありません。圭は勇介が事実を知らないままで済ませてはいけないと思い、勇介に話しました。勇介はそれを聞いて混乱状態に陥りました。勇介にとってこの一件は圭との関係を改めて考える機会になったものと思います。そして、圭にとってもそれは同様です。
圭が勇介に事実を知らせた日の夜、勇介は圭のアパートを訪ねました。圭は夜遅くに訪ねてきた勇介を拒否するようなことはしませんでした。勇介は圭に、十分に彼の気持ちを伝えることはできませんでしたが、二人で将来の希望について話し合うことができました。勇介と圭との関係は、これからが本当の始まりだと言えるのかも知れません。
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